事業所から出る廃棄物の分別を見直す進め方

事業所から出る廃棄物の分別を「なんとなく運用してきた」という状態が長く続いていませんか。分別の仕組みが整っていないと、有価物が廃棄物として処分費用を払って捨てられていたり、産業廃棄物と事業系一般廃棄物が混在して法令上の問題が生じたりすることがあります。

この記事では、事業所の廃棄物分別を見直したいと考えている方に向けて、現状把握から運用の定着まで、株式会社RISEのリサイクルコンサルティングの現場で実際に用いているステップを整理します。

事業所の廃棄物分別改善の4つのポイントを示すイメージ
分別容器に表示を付け、区分を明確にするだけでも改善の効果が出やすい

分別を見直すと何が変わるか

廃棄物の分別を改善することで期待できる変化は、主に3つあります。

1. 処理コストの削減

産業廃棄物の処理費用は品目によって大きく異なります。混合廃棄物として一括処理しているものを品目ごとに分けると、処理単価が下がる場合があります。素材が均一であるほど、処理施設での負担が下がり、結果として費用が低くなる傾向があります。

2. 有価物としての売却収入

金属くず・古紙・単一素材プラスチックなどは、分別された状態であれば有価物として業者に買い取ってもらえる可能性があります。「処分費用を払って捨てていたもの」が「売却収入が入るもの」に変わることで、コスト構造が大きく改善される場合があります。

3. 法令順守の徹底

産業廃棄物と事業系一般廃棄物を正しく区分せずに処理委託すると、廃棄物処理法上の問題が生じる可能性があります。適切な分別は、排出事業者責任を果たすための基本でもあります。

事業系廃棄物の区分

事業所から出る廃棄物は、廃棄物処理法上、大きく産業廃棄物と事業系一般廃棄物に分かれます。

産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、廃棄物処理法施行令第2条で定められた20種類(廃プラスチック類・金属くず・ガラスくず・廃油・廃酸・廃アルカリ・汚泥・廃PCB等)に該当するものです。処理には収集運搬業・処分業の許可業者への委託が必要です。

事業系一般廃棄物とは、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、産業廃棄物に該当しないもの(オフィスから出る紙くず・食べ残しなど)です。産業廃棄物の許可業者とは別に、一般廃棄物処理業の許可を持つ業者(または市区町村)に委託する必要があります。

実務上よく混乱するのは、紙くず・木くず・繊維くず・食料品くずなどです。これらは業種によって産業廃棄物になる場合とならない場合があります。たとえば、製造業・建設業・農業などの特定業種から生じる紙くずは産業廃棄物ですが、同じ紙くずでもオフィスのコピー用紙の廃棄は多くの場合、事業系一般廃棄物です。不明な場合は都道府県・政令市の担当窓口または産業廃棄物許可業者に確認することをおすすめします。

混ぜると損をする代表例

次の素材は、分別すれば有価物または低コスト処分が可能ですが、混合廃棄物に混入すると高コストな一括処分の対象になります。

現状把握・区分整理・分別ルール設計・運用定着の4ステップフロー
分別改善は「現状把握」から始め、ルール設計・運用定着まで4ステップで進める

金属くず(鉄・アルミ・ステンレス・銅)

金属は単一素材・異物なしの状態であれば、スクラップ業者が有価で引き取ります。切削くず・端材・廃ボルト・廃配管など、形を問わず対象になります。異素材や樹脂コーティングが混在すると有価扱いが難しくなります。

古紙(段ボール・新聞・雑誌・コピー用紙)

段ボールや紙はオフィス・倉庫から大量に発生します。異物(テープ・金属ステープル・食品残渣)が混入しない状態で束ねることで、古紙回収業者に引き渡せます。

単一素材プラスチック

OPP・PEなどの同種プラスチックが単一素材でまとまっている場合、再生原料として取引される場合があります。異素材プラスチックの混在・汚れが大きいと対象外になります。

廃油(切削油・洗浄液等)

製造現場から出る廃油は、成分が明確であれば燃料用・再生用として取引される場合があります。異種の液体が混入すると再生困難になります。

現場で運用できる分別ルールの作り方

分別改善で失敗しやすいのは、ルールを細かくしすぎて現場が追いつかなくなるケースです。最初は次の3段階から始めるのが現実的です。

ステップ1:大区分(4〜6区分)を決める

品目数を絞り込み、排出量の多いもの・有価化できるものを優先して区分します。例:①金属くず ②廃プラスチック(単一素材) ③古紙・段ボール ④混合廃棄物 ⑤その他(廃油・廃酸等は別途管理)。

ステップ2:「迷ったときのルール」を一枚にまとめる

廃棄物の区分に迷うものが必ず出ます。現場が判断できるよう、「このビン・袋・端材は◯◯へ」という一覧表を、容器の近くに掲示します。

ステップ3:担当者・責任者を決める

分別の確認・補充・業者への引き渡し担当を明確にします。誰でもやれる状態は誰もやらない状態になりやすいため、担当者を決めることが定着のカギになります。

保管場所・分別表示の整え方

分別容器が適切に整備されていないと、よいルールを作っても運用は続きません。保管場所・容器・表示の整備も合わせて進めてください。

  • 容器の色・形を区分ごとに統一する:見た目で分かるようにすると誤投入が減ります
  • 分別表示は文字だけでなく写真や絵も加える:外国語対応や新人への説明コストが下がります
  • 保管場所は屋根・防雨・防火に対応させる:廃棄物の保管基準(廃棄物処理法施行令第6条の2)に従い、産業廃棄物の保管場所は囲いの設置や掲示板の設置が求められます

産業廃棄物の保管場所には、廃棄物の種類・保管上限量・管理者氏名などを記載した掲示板の設置が法令上義務付けられています。掲示板がない場合は行政指導の対象になることがありますので、確認・整備をおすすめします。

分別を継続させるコツ

分別改善は、導入直後は定着しやすい一方で、担当者が変わったり、繁忙期に省略されたりすると崩れやすい傾向があります。継続のために役立つアプローチをいくつか挙げます。

  • 月次で処理費用・有価物売却収入を集計し、関係者にフィードバックする:数字で見える化することで、継続への動機が維持されます
  • 新入社員・異動者への分別ルール説明を教育プログラムに組み込む:属人的な伝承から仕組みによる伝承に移行します
  • 年1回、保管場所と容器の状態を確認する場を設ける:ラベルの劣化・容器の破損・区分の変化に気づくきっかけになります
  • 処理業者と定期的に情報交換する:市場価格の変化・有価物対象品目の変化を把握することで、分別の見直しタイミングを逃しません

まとめ

事業所の廃棄物分別を見直すことは、処理コストの削減・有価物収益の確保・法令順守という3つの効果を同時に実現できる取り組みです。最初から完璧な分別体制を目指すより、大区分を決める・表示を整える・担当者を決めるという3点から始め、運用しながら少しずつ精度を上げていく進め方が現場への定着につながります。

株式会社RISEでは、事業所の廃棄物分別の現状確認から、有価物の切り出し提案・リサイクル処理の手配まで関東を中心に対応しております。「どこから手をつければよいか分からない」という段階のご相談も歓迎しております。ヒアリング・お見積りは無料ですので、お気軽にご連絡ください。

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