サーバーやネットワーク機器の廃棄は、オフィスのパソコン処分と比べて確認事項が多くなりがちです。ストレージにはOSや業務データだけでなく、ネットワーク設定・SSL証明書の秘密鍵・認証情報なども保存されている場合があり、情報セキュリティの観点から特に慎重な対応が求められます。
この記事では、株式会社RISEが法人向けのICT機器リサイクルに携わる中で多くいただく「サーバー・ネットワーク機器の廃棄をどう進めればよいか」という問いに対して、事前確認から適正リサイクルまでの流れをまとめます。
サーバー・ネットワーク機器特有のリスク
パソコンと違い、サーバーやネットワーク機器には次のような情報が蓄積されていることがあります。
- ストレージ内のデータ:業務データベース・メールデータ・ログファイル
- ネットワーク設定情報:IPアドレス・VPN設定・ルーティングテーブル
- 認証情報・証明書:SSLサーバー証明書の秘密鍵・管理者パスワード
- ファームウェア内の設定:スイッチ・ルーターのコンフィグ情報
機器をそのまま廃棄業者に引き渡した場合、設定情報が第三者に渡るリスクがあります。廃棄前にコンフィグのリセット(工場出荷状態への初期化)を行うことが、機器の種類によっては特に重要です。ストレージの物理的なデータ消去と合わせて、ネットワーク機器については設定の完全消去(コンフィグイレース)も確認事項に含めることをおすすめします。
廃棄前に確認すること
機器の廃棄を円滑に進めるには、いくつかの事前準備が役立ちます。
資産管理台帳との照合
廃棄対象の機器は、資産管理台帳(固定資産台帳・ITリスト)と現物を照合します。シリアル番号・型番・購入年月・設置場所を確認することで、廃棄漏れや誤廃棄を防げます。また、会計上の固定資産除却処理と連動させるために、台帳から削除する作業も合わせて進めると経理側の手戻りが減ります。
リース機器と購入機器の区分
機器がリース契約のものである場合、廃棄ではなくリース会社への返却が原則です。リース期間中に廃棄すると契約違反になる場合があるため、必ずリース会社への確認を先に行ってください。購入機器であっても、保守契約が残っている場合は保守業者への連絡が必要なことがあります。
ソフトウェアライセンスの確認
サーバーにインストールされているOSやソフトウェアは、ライセンス上の手続き(デアクティベーション・ライセンス返還)が必要な場合があります。廃棄後の違反ライセンス使用扱いを避けるため、ソフトウェアベンダーの規約を確認しておきましょう。
データ消去の難しさ
サーバーのデータ消去はパソコンより複雑になる場合があります。主な理由は次のとおりです。
RAID構成の問題
サーバーのストレージはRAID(複数ディスクの冗長構成)が多く用いられています。単一ディスクを取り出して消去するだけでは、他のディスクにデータが残ることがあります。RAID構成を把握した上で、構成全体を対象にした消去処理が必要です。
SSDの特性
SSD(ソリッドステートドライブ)はHDDと異なり、ウェアレベリング(書き込み回数を均一化する機能)によって、データが複数の物理セルに分散して保存されます。そのため、通常の上書き消去ツールだけでは完全な消去が保証されないケースがあります。SSDに対してはNIST SP 800-88に基づく暗号消去や物理破壊が推奨される場合があります。
組み込みストレージ
ネットワーク機器(ルーター・スイッチ・UTM等)にも、コンフィグ情報を保存するフラッシュメモリやNANDストレージが内蔵されている場合があります。こうした機器は一般的なデータ消去ツールが使えないため、コンフィグイレースコマンドによる初期化か、物理破壊での対応を検討する必要があります。
産業廃棄物としての適正処理
法人から排出されるサーバーやネットワーク機器は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)上、産業廃棄物(廃プラスチック類・金属くず等)に該当します。処理を外部業者に委託する際には、次の手続きが必要です。
- 許可業者への委託:産業廃棄物収集運搬業および処分業の許可を持つ業者との契約が必要です
- 書面委託契約の締結:口頭でなく書面による委託契約書の締結が法令上求められます
- マニフェストの交付と保管:産業廃棄物管理票(マニフェスト)を交付し、返送票を受領・保管する義務があります
排出事業者には、処理を委託した後も廃棄物に対する責任が残ります(排出事業者責任)。返送票が期限内に届かない場合は業者に確認を取ることが求められており、不適切な処理が判明した場合には排出事業者も措置命令の対象になる場合があります。
リユース・買取の可能性を検討する
廃棄を前提に動き出す前に、買取・リユースの可能性を確認することも費用削減につながります。一般的に次のような機器は買取対象になりやすい傾向があります。
- 保守期限内の業務用サーバー
- 製造から5〜7年以内のネットワーク機器(スイッチ・ルーター・Wi-Fiアクセスポイント)
- 拡張メモリ・増設ストレージ(単体でも取引されることがある)
一方、故障・起動不可・ラックの腐食・ファームウェアロックなどがある場合は買取が難しくなります。廃棄とリユースの仕分けは、データ消去の前段階(棚卸し時)に行っておくと、消去方式の選択(論理消去か物理破壊か)とも整合しやすくなります。
株式会社RISEは古物商許可を保有しており、ICT機器の査定・買取にも対応しています。廃棄費用の一部を買取代金で充当できるケースもありますので、まとめてご相談いただくことをおすすめします。
進め方:棚卸しから適正リサイクルまで
実務の流れとしては、次の順番で進めると抜け漏れが生じにくくなります。
- 棚卸し:資産台帳との照合、リース・購入の区分確認、ソフトウェアライセンスの確認
- データ消去の方式決定:RAID構成・ストレージ種別・機密度に応じて論理消去/物理破壊を選択
- 消去証明書の取得:消去実施記録・証明書を受領し保管(内部監査・コンプライアンス対応)
- リサイクル処理:許可業者への委託、マニフェストの交付・返送票の確認・保管
ステップ1と2を事前に整理しておくことで、業者への見積依頼・スケジュール調整がスムーズになります。
まとめ
サーバー・ネットワーク機器の廃棄では、単にデータを消して廃棄業者に引き渡すだけでなく、資産台帳との照合・リース返却の確認・適切な消去方式の選択・消去証明書の取得・産業廃棄物としての適正処理という複数の要素を組み合わせて管理することが求められます。
株式会社RISEでは、サーバー・ネットワーク機器をはじめとしたICT機器のデータ消去・回収・リサイクル処分・買取査定を関東を中心に対応しております。古物商許可を保有しており、廃棄とリユースを一括してお引き受けすることが可能です。ヒアリング・お見積りは無料ですので、廃棄計画の初期段階からお気軽にご相談ください。